読書:「幼年期の終わり」古典的SFの名作!

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初版から36年後に書き直された新版、初の邦訳!SFを超えた「哲学小説」! 地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。彼らの真の目的とはなにか? 異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。
引用元:幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

人類の次なる行く末の一つ手前、それが「幼年期」。

飢え、貧困、病気、戦争。それらの苦しみはオーヴァーロードによって取り除かれ、未来の人類はあたかも理想郷のような黄金期にいます。しかし、上位の知的生命体からすれば、それは幼年期に過ぎません。

「幼年期」が終わるということは、「次の段階」があって、そこに進むということ。人間には理解できない生命の進化が描かれますが、科学的な説明や納得できる根拠を示されるわけではありません。ただそのまま受け入れるしかない。読み手は傍観者となります。

その進化の顕現のアイデア自体はなるほど「古典」と思いました。しかし、それによってもたらされる人類の運命の描写、神秘的で少し哀しい感覚は物語としてぐっとくるものがありました。誰に罪があるわけでもない。仕方の無い断絶の虚無感。僕は好きです、このさびしい感じ。SF的考察がこの物語の趣旨じゃない。価値観の転換を眺めるのがいいと思う。

改訂を重ねて現代まで読み継がれている名作とはいえ、初版が発行されたのは1953年。古典としての価値があることは間違いないとしても、現代のSF小説や映画、アニメのネタ元として既視感があるだろうし、SF的考証も現代のものと比較するのはフェアじゃないし、そこは見るべきところではありません。

僕がこの作品に一番望むことは、初心者SF読みとしてSFの原点とはどういったものかを探ることでした。比較的新しい世代の物を中心に読んでいるので、それじゃあイカンと思っていまして。

てことで、何となくこの作品を選びましたが、SFの原点の空気に少しは触れることができたと思います。しかしまだまだSFの世界は深いはず。原点の一面に触れたのに過ぎないのでしょう。比較対象があってこそ、あらゆる作品を深く味わうことができるはず。縦に横にもりもり読み進めていこうと思います。

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